国内留学訪問記

江原 悠也

神奈川大学 辻研究室
博士前期1年
期間:2018年8月1日~9月8日
場所:九州大学 國信研究室

私は辻研究室で、カルボニル化合物および誘導体のC-H活性化を鍵とするπ共役系骨格の構築反応を研究しています。國信先生はC–H結合変換反応をはじめとする実用的な触媒的有機合成反応の開発をされており、C–H活性化によるアルデヒドの求核付加反応の先駆けとなる研究もされてきました。そこで今回、C–H活性化によるアルデヒドの挿入反応の検討を國信研究室にて行いました。同じ有機合成の研究室でも、反応のかけ方やルールの違いに最初は戸惑いを感じましたが、助教の鳥越先生をはじめ研究室の皆様に丁寧に指導して頂いたおかげで一ヶ月間の研究を有意義なものにすることができました。また、鳥越先生と國信先生には定期的にディスカッションをしていただいたことで、多くのことを学ぶとともに、検討がうまくいかなかったときも方向性を見失わずに実験をすることができました。


新たな環境での実験や生活に不安な気持ちはありましたが、國信研究室の皆様が暖かく迎えてくださりその心配なく過ごすことができました。また、同年代の学生が精力的に研究に取り組んでいる姿にとても刺激を受けました。その場に自身も加わって研究を行えたことは非常に貴重な経験となりました。國信研究室での検討や学んだことを活かして、今後の研究に励みたいと思います。今回このような貴重な機会を与えてくださった辻先生、國信先生、ならびにπ造形科学の関係者の方々に厚く御礼を申し上げます。


岡田 隼輔

東京農工大学 村岡研究室
博士前期1年
期間:2018年7月29日〜8月4日
場所:東北大学 稲葉研究室

私は、村岡研究室で酸化的タンパク質フォールディングを促進するチオール基含有化合物の合成と評価を研究しています。タンパク質はジスルフィド結合や水素結合によりフォールディングし、天然構造と呼ばれる適切な立体構造を形成することで本来の機能を獲得します。ここで、誤ったシステイン残基間でジスルフィド結合が形成された場合、タンパク質はミスフォールディングにより非天然型の構造を形成し、多くの場合失活、さらには凝集します。このミスフォールディングによる凝集は、特に大腸菌などを用いたタンパク質の大量発現時に度々見られ、目的タンパク質の収率低下に直結し、その先の研究・応用を妨げる問題となっています。したがって、タンパク質のフォールディングを促進する方法の開発は、重要な研究対象となっています。中でも私は、ジスルフィド結合形成を伴う酸化的タンパク質フォールディングに注目し、その促進に寄与する化合物の開発を行っています。


東北大学多元物質科学研究所稲葉研究室では、タンパク質の酸化的フォールディングを触媒する酵素の構造と機能解明、さらには酸化的フォールディングにおけるタンパク質構造の経時変化の解析について精力的に研究されています。そこで今回、π造形スクールのプログラムを利用して、稲葉先生、奥村先生の下で、我々が新たに開発した化合物について、酸化的タンパク質フォールディングを促進する効果の定量的評価を行いました。基質タンパク質であるリボヌクレアーゼを還元変性した後、合成化合物と酸化剤を加え、酸化的フォールディングを進行させました。アクリルアミドゲル電気泳動や、酵素活性評価によって、酸化的フォールディングの進行を定量的に評価することができました。研究の成果としては、我々が開発した化合物が、従来の促進剤よりも著しく速く、効率的にリボヌクレアーゼの酸化的フォールディングを進行させることが明らかとなりました。


タンパク質科学を研究する稲葉研究室は、有機合成を行う村岡研究室とは道具や設備が全く異なり、初めは期待よりも不安が大きかったですが、稲葉研究室の方々に温かく迎えられ、その不安も払拭されました。実験においては、基本的な道具の扱い方など、一から丁寧に教えて下さり、各実験操作の意図まで理解することができました。また、定例報告会にも参加させて頂き、ディスカッションを通して、酸化的タンパク質フォールディングについてより深く探求しようと努力されている姿に、とても刺激を受けました。今回のπ造形スクール期間中に経験した内容は、私の中で大変貴重な経験となりました。最後にこのような貴重な機会を与えて下さいました稲葉先生、奥村先生、村岡先生、並びにπ造形科学の関係者の皆様に厚く御礼を申し上げます。


Sitanan Sartyoungkul

Applied chemistry, Graduate school of engineering, Osaka University
Graduate student (D1)
期間:2018年1月22日 ~ 27日
場所:Kyushu University, Assoc. Prof. Shimizu’s group

First of all, I would like to express my gratitude to Shimizu-sensei for giving me the chance to study in his group. This is valuable experience to explore chemistry knowledge and conduct researches apart from my laboratory.


I am first year Ph.D. student from Sakurai-laboratory, Osaka University. I have been studied the cup-shaped cyclic trilactams compound which could be the good candidate for metal-coordination. And Shimizu-sensei group reported the convenient method to synthesize the variety of BODIPY complexes (B-N coordination) through Schiff base formation from lactam structures in one step. Therefore, I took this opportunity to try those approach with my compound. By joining his group for one week, I obtained not only interesting results, but also the knowledge of metal-coordination chemistry. At the same time, I also received great cooperation and communication with cheerful and active students from this laboratory.


Last but not least, I would also like to thank Prof. Furuta for warming welcome, Shimizu-sensei and all members in his group for their helping and valuable suggestions. And I would like to thank Prof. Sakurai for giving me the chance to join the “π-figuration school”. Finally, I would like to thank the “π-figuration school” for the financial support. Thank you very much!


佐藤 雄治

神奈川大学 辻研究室
博士前期課程1年
期間:2017年8月3日~9月6日
場所:関西学院大学 森崎研究室

私は、辻研究室で炭素架橋フェニレンビニレン (COPV) という機能性炭化水素分子を扱った研究を行っています。COPVは、π共役の拡張に理想的な完全平面型分子構造を有しています。その構造的特徴から、蛍光量子収率がほぼ100%という優れた光物性や、結合を介した大きな電子的相互作用を示すことがこれまでの研究から明らかになっています。一方で、A01班の関西学院大・森崎研究室では、 [2.2]パラシクロファンを基本骨格として、空間を介した相互作用を特徴とする物質の研究を行っています。


そこで今回、COPV分子間の相互作用を評価する目的で、森崎研究室で開発した新規[2.2]パラシクロファン骨格と我々のCOPVを組み合わせた新規機能性分子の合成に挑戦しました。COPVの発光特性と電子的相互作用が、[2.2]パラシクロファン骨格由来の空間を介した相互作用の影響によって変化し、新たな光および電子特性の発現が期待される分子を何種類か合成すべく、大学の夏の長期休み期間の約一か月を利用して研究に勤しみました。


普段とは異なる環境での実験で不安でしたが、森崎先生および研究室のスタッフや学生の皆様に温かく迎えていただき、非常に良い環境で実験を行うことができました。今までやったことのなかった実験テクニックを教えていただいたり、研究についてのディスカッションをしたりと、インターンを通じて普段経験できないことを経験できました。また、森崎研究室のセミナーにも参加させていただき、知見を広げる良い機会となりました。今回の経験を活かし、これからもより一層自身の研究に励んでいきたいと思います。最後に、このような貴重な機会を与えてくださった辻先生、森崎先生およびπ造形科学の関係者の方々に深く御礼申し上げます。

Chunhui Zhao

National Institute of Materials Science, Prof. Takeuchi’s Group Post-Doctorate in Material Sciences and Engineering
Time: 2016,10,01 ~ 21
Place: Kyoto University, Prof. Seki’s group

First of all, I would like to express my gratitude to Prof. Seki for giving me the chance to study in his group. I am a fresh PD from Prof. Takeuchi’s group in National Institute for Materials Science (NIMS) where I studied organic chemistry and polymer chemistry. In our group, we design conjugated polymers which are molecular “insulted” by bulky functional groups so that the inter-chain interactions are effectively limited. This design concept allows us to investigate the electronic properties of a single polymer chain. Most recently, insulated polythiophenes with small amounts of defect in backbone were synthesized successfully. Those polymers become promising polymeric materials for investigating intra-chain charge carrier mobility.


Prof. Seki’s group utilizes flash-photolysis time-resolved microwave conductivity (FP-TRMC) method to investigate the charge carrier mobility in organic materials. Transient charge carriers can be photo-generated by laser. The advantage of this TRMC method is that determination of the mobility by use of an oscillating microwave field, without the need to apply electrodes. More importantly, the intrinsic charge carrier mobility could be determined due to the generated charge carriers actually presented on polymer chains. Therefore, during the visiting period, I applied FP-TRMC to evaluate intra-chain charge carrier mobility in insulated polythiophenes. The change of kinetic traces in FP-TRMC measurement was observed due to applying insulated polymers with different amounts of defect in backbone. Through the TRMC measurement, I obtained not only interesting results in the three weeks, but also the knowledge of microwave and condensed matter physical chemistry. At the same time, the cooperation and communication with the students from this active laboratory broaden mine horizon. We have lots of discussion about many projects, ideas, life in Kyoto and in Tsukuba.


Here, I would like to thank Prof. Seki, Dr. Sakurai, Dr. Sakamaki and all the members in Prof. Seki’s group for their help and constructive suggestions. And I would like to thank Prof. Takeuchi and Dr. Sugiyasu in NIMS for giving me the chance to join the “π-figuration school”. Finally, I would like to thank the “π-figuration school” for the financial support. Thank you very much!

吉田 拓矢

名古屋大学 忍久保研究室
博士後期2年
期間:2016年6月13日〜17日
場所:京都大学 関研究室

私は忍久保研究室でノルコロールと呼ばれる反芳香族ポルフィリン類縁体の合成と物性について研究しています。ノルコロールに対し様々な置換基を導入しその効果を調べた結果、置換基の微妙な変化によって分子のパッキングが大きく変化することがわかり、一部ではπ平面の積層も観測されていました(図)。元々ノルコロールはHOMO-LUMOギャップが狭いという良い物性を持つのですが、これに加えてπ積層構造を持つ誘導体が合成できたので、電荷輸送材料としての展開が期待されました。A03班の京都大・関研究室ではマイクロ波を用いた有機分子の電荷移動度測定を盛んに研究されています。そこで今回、一週間関研究室に滞在させていただき、時間分解マイクロ波分光法(TRMC法)によるノルコロール誘導体の電荷移動度の評価を行いました。見慣れない装置に囲まれ初めは戸惑いそうになりましたが、助教の酒巻先生を中心に関研究室の皆さまに測定・解析方法に加え装置の原理まで親切に教えていただき、スムーズに測定を行えただけでなく、とても勉強にもなりました。また、関研究室のセミナーでは普段と全く異なる分野に触れることができ、自分の知見を拡げる非常に良い機会となりました。さらには、私の研究を発表する機会も与えてくださり先生方および学生の方々と充実したディスカッションをすることができました。


今回の測定によって、電荷移動度の信号強度と分子のパッキングには大まかな相関があることや結晶の質によっても強度が変化するなどの知見が得られ、今後の分子設計に大いに役立てられると思います。実際に測定をしてみて、従来法に比べ簡便に移動度が評価できるTRMC法の威力を実感しました。その他の評価法や素子の作成法なども教えていただいたのですが、私には馴染みのないものばかりでとても興味深かったです。今回のπ造形スクールを通じて、これまでとは違った視点からも研究に取り組めるようになったのではと感じます。最後に、このような貴重な経験をさせていただいた関先生と関研究室の皆さま、忍久保先生、π造形科学関係者の方々に厚く御礼申し上げます。


濵田 純平

埼玉大学 斎藤研究室 学部4年
期間:2015年11月2日~14日
場所:東北大学 宮坂研究室

斎藤研究室では骨格にスズを含む配位子であるジリチオスタンノールを利用した錯体の合成に関する実験を行っています。この配位子を用いて金属原子を2つ有するトリプルデッカー型錯体の合成に成功しています。この化合物のサイクリックボルタメトリー測定したところ、常磁性であるその一電子酸化体が安定であることがわかりました。私はこの錯体の混合原子価状態に興味を持ち、この性質を利用して、新たな物性探索へと展開したいと考えました。


宮坂先生は磁性材料の開発に精力的に取り組まれています。様々な酸化剤とメタロセンの組み合わせによって磁気的性質をコントロールしており、我々のスタンノール環を配位子としたメタロセンというユニークな化合物を用いることで、新たな物性が発現されることが期待されます。そこで私はπ造形スクールのプログラムを利用し、大量に合成したトリプルデッカー型錯体を携え、宮坂先生のもとで研究させていただきました。新しい環境で実験を行う上で、最初はすごく不安を感じていましたが、宮坂先生、研究室のスタッフ、学生、秘書のみなさまに暖かく迎えていただき、また実験でも丁寧に教えてくださり、非常に有意義な時間を過ごすことができました。


今までに経験をしたことがない機器の取り扱いやその解析法だけではなく、電解酸化など合成手法も学ぶことができました。また普段と異なる研究室の方々との多くのディスカッションを通して、物事を多角的に考えられるようになったと感じています。宮坂研究室で学んだ経験を活かし、今後さらに研究に取り組んでいきます。最後に、このような大変貴重な機会を与えてくださった斎藤先生、宮坂先生およびπ造形科学の関係者の方々に深く御礼申し上げます。

島田 康生

金沢大学 生越・山岸研究室 修士1年
期間:2015年8月~2015年9月末
場所:京都大学 杉野目研究室
長田グループ

私は生越・山岸研究室で環状分子Pillar[n]areneに関する研究を行っています。Pillar[n]areneはベンゼン環がパラ位でメチレン架橋した柱状の環状分子であり、ベンゼン環ユニットの置換基の位置からS体とR体の面不斉が存在します。Pillar[5]areneの面不斉は大きな不斉場を有しているため従来の不斉配位子よりも高いエナンチオ選択性がでること、また環状分子ならではのホスト-ゲスト特性を有することから新たな触媒反応系になると期待されます。A02班の杉野目研究室長田先生のグループは、らせん高分子の精密制御や機能開拓の一つとして触媒への応用などを研究されています。そこで今回、π造形スクールのプログラムを利用して長田先生のもとでPillar[5]areneを利用した不斉触媒の合成とそれを用いた不斉反応に取り組みました。研究設備やルールが異なる研究室で実験を行うことに対しての不安はありましたが、杉野目研究室の方々が親切・丁寧に教えてくださったおかげで安心して実験を進めていくことができました。特に長田先生にはたくさんの研究に関する指導や議論をいただき、新しく多くのことを学ぶことができました。


研究の成果としては、触媒部位を有するPillar[5]areneの合成に成功し、キラルHPLCを用いた光学分割によってpS体とpR体に単離しました。これらを触媒として用いて不斉反応を行うことで不斉を偏らせることに成功しました。また、Pillar[5]areneの空孔にゲストを包接した状態で不斉反応を行うと反応速度が速くなるというホスト-ゲスト化学に基づく興味深い結果が得られました。今までにやったことのない合成や多くの実験操作を経験させていただき、実験技術を向上させることができたと感じています。また、異なる研究分野の研究室の雰囲気を味わうことができたことも私にとっては良い刺激となりました。今回、学ばせていただいた多くの経験を私が所属する研究室で活かし、これからの研究に取り組んでいきたいと思います。最後に、このような貴重な機会を与えてくださった生越先生、長田先生、杉野目先生およびπ造形科学の関係者の皆様に厚く御礼を申し上げます。

西 美樹

熊本大学 松田研究室 博士後期一年
期間:2015年5月末~8月末
場所:東北大学 芥川研究室

私は松田研究室でポルフィリン化合物を用いた電気伝導性物質の開発に取り組んでいますが、今回、π造形スクールのインターン制度を利用し、これまでに馴染みの薄かった誘電特性について研究する機会をいただきました。中でも、大気中で安定なラジカル種であるリチウムフタロシアニンラジカル (LiPc) に注目しました。LiPcはα-、β-およびx-formの3つの多形を示す金属錯体であり、いずれもLiPcが一次元のカラム状にスタックした構造を形成しています。そこで、Mott絶縁体であるα-、β-およびx-LiPcにおいて、Pc環の中心に位置するLi+イオンが高温で動的になり、誘電応答が観測されるのではないかと期待し、実験を行いました。A02班の芥川研究室ではバルク結晶や柔粘性結晶、液晶、ゲル、LB膜などの分子集合体を研究対象に、強誘電性・強弾性・導電性・磁性といったマルチファンクショナルな分子性材料の開発を活発に展開されており、物質開発から物性測定まで一貫して行える環境が充実しています。私も試料合成に始まり、物質の同定から評価までを目標として研究に取り組みました。特に、測定系では初めて使う装置ばかりで不安でしたが、芥川研の皆さまに使い方からデータの解析法まで、丁寧にご指導していただきました。中でも、星野先生には毎日のように測定全般にわたってお世話になり、たくさんのことを詳細に教えてくださいました。研究の成果としては、α-、β-およびx-LiPcのいずれにおいても、温度の増加と共に誘電率の上昇、周波数依存性を観測することができ、さらに、x-formにおいては他の2つでは見られない誘電率の異常が見られ、予想以上に面白い結果を得ることができたと思っています。芥川先生を始め、研究室のスタッフ、学生、秘書の皆さまはとても活発で賑やかなユーモア溢れる方ばかりで、この3ヶ月間、他では体験できない有意義な充実した時間を過ごすことができました。芥川研で学んだ知識・技術・経験を活かし、今後も研究に励んでいきます。最後に、このような貴重な機会を与えてくださった芥川先生および松田先生、π造形科学の関係者の方々に深く御礼申し上げます。

大森 裕土

名古屋大学 忍久保研究室
修士二年
期間:2015年7月21日〜
2015年8月2日
場所:大阪大学 南方研究室
武田グループ

忍久保研究室では骨格内にヘテロ原子を導入したポルフィリノイドの研究を行っています。これまでにポルフィリン骨格に窒素や硫黄を含む化合物の合成を報告しました。私は新たにリンを含むポルフィリノイドの合成をしたいと考えていました。ポルフィリン骨格にリンを含む化合物はほとんど合成例がないため、その分子構造や芳香族性、電子物性に非常に興味がもたれます。さらにリン上の非共有電子対の存在によりさまざまな化学修飾が可能であり、これまでにない新たな機能性をもった化合物となることが期待できます。A01班の南方研究室武田先生のグループはリンを含む化合物の合成やその物性に関する研究をされています。そこで2015年7月から8月にかけての2週間、π造形スクールのプログラムを利用し、武田先生のもとでリンを含む化合物の合成やその取り扱いなどについて学ぶ機会をいただきました。普段とは違う環境で研究することになりとても不安でしたが、南方研究室のみなさまに暖かく迎えていただき、安心して実験することができました。特に武田先生には研究についてたくさんのアドバイスをいただき、新たな知識を身につけることができました。


今回用いたリン試薬は反応性が高く、取り扱いが困難で苦労しましたが、武田先生や学生の方に丁寧に教えていただきながら研究を進めることができました。今までやったことのなかった実験操作もたくさん学ぶことができ、実験技術を向上させることができたと感じています。また研究に関して、普段とは違う視点からの貴重な意見をいただくことができました。今後も今回の経験を生かして、さらに研究に励みたいと思います。最後にこのような貴重な経験をする機会を与えてくださいました忍久保先生、武田先生、南方先生およびπ造形科学関係者のみなさまに厚く御礼申し上げます。

本川 究理

東京工業大学福島研究室
修士二年

期間:2015年1月〜3月
場所:大阪大学 櫻井研究室
π造形スクールを経験して

私は福島研究室で、特異な構造形態をもつソフトマテリアルに関する研究を行っています。そのコンポーネントとして、これまで、代表的なディスク状分子であるトリフェニレン誘導体を用いてきました。A01班の櫻井先生は、お椀型構造を有するスマネン誘導体を精力的に研究されています。スマネンはトリフェニレンを部分骨格としてもちますが、その湾曲構造のため、トリフェニレンにはない興味深い動的な性質を示します。そこで私は、これまでのトリフェニレン液晶に関する知見を活かし、スマネンをコンポーネントとする、新しいソフトマテリアルが開発できるのではと考えました。幸いにも、2015 年 1 月から3月までの3ヶ月間、π造形スクールのプログラムを利用して、大阪大学櫻井研究室でスマネン誘導体合成を修行する機会を頂きました。新しい環境で、うまく研究に取り組めるか最初は不安でしたが、櫻井先生および研究室のスタッフや学生の皆様に、合成法から実験操作まで、丁寧に指導していただきました。さらに、綿密なディスカッションを通じて、新たな知識や技術など多くのことを学びました。

 

櫻井研究室では、日本人学生とほぼ同数の留学生が在籍しており、国際色豊かです。そのため、研究室のゼミは全て英語で行われていました。私はこれまで英語でコミュニケーションすることが少なく、最初はかなり戸惑いがありました。しかし、3ヶ月間の滞在により、英語での質問やディスカッション、さらには研究発表も、かなり上達したと感じています。π造形スクールに参加させていただいたことは、かけがえのない経験になりました。この経験を活かして、広い視点から物事を考えながら、一層研究に励みたいと思います。このような貴重な機会を与えて下さった福島先生、櫻井先生ならびにπ造形科学の関係者の皆様に厚く御礼を申し上げます。

π造形科学

π造形スクール

π造形科学NEWS by佐藤健太郎

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